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2012年6月13日 (水)

3条委員会と8条委員会

政府・民主党,自民党,公明党は,福島の原発事故を受けて,新たな原子力規制組織のあり方について協議を重ねています。現時点で明らかになっている概要は,政府に,「原子力防災・放射能汚染対策会議」(仮称)を新設し,原子力規制委員会の委員長が同会議に参画するというもののようです。

 

 そして,原子炉の制御については,原子力規制委員会に責任を持たせ,同委員会は,いわゆる3条委員会とするとのこと。

 

 ここに,3条委員会というのは,国家行政組織法第3条に基づく委員会のことで,「委員会…は,省に,その外局として置かれるものとする。」とされています。中央労働委員会などがその例ですね。なお,内閣府設置法にも,内閣府の外局として,委員会が置かれることになっています(公取とか国家公安員会とかです。)。

 

 他方で,国家行政組織法第8条には,国の行政機関に,合議制の機関を置くことができるとされています。同条の見出しは,(審議会等)とされていますが,同条に基づく合議制の機関の名称はいろいろです。例えば,証券取引等監視委員会は,「委員会」という名称が用いられていますが,第8条に基づく「審議会」なのです。

 

 では,3条委員会と8条委員会(審議会)の違いはなんでしょうか。一言でいえば独立性の有無です。3条委員会は,原則として,いわゆる国家意思を表示する権限を有しているものとされます。他方で,8条委員会(審議会)は,あくまで,諮問的・調査的な合議制機関にすぎません。

 

 例えば,証券取引等監視委員会は,証券会社を検査して金融商品取引法違反を発見したとしても,独自で当該証券会社に対して行政処分を打つことはできません。行政処分を打つよう,内閣総理大臣に「勧告」するだけです(もっとも,その勧告が無視された例は,私の知る限り1例しかありませんけど。)。

 

 民主・自民・公明三党が,原子力規制委員会を3条委員会とする趣旨は,福島の原発事故処理に政府が過度に介入したのではないかという批判を受けて,規制委員会に独立性を持たせるということかと思います。

 

 しかし,原子力規制委員会に高度の独立性を持たせることについては,当然批判もあります。個人的には,原子炉・原発の制御も,最終的には内閣総理大臣が責任を持って判断すべき事項と考えます。自衛隊の最高指揮権限が内閣総理大臣にあるのと一緒,つまり,文民統制です。原子力の専門家は,原子炉・原発の制御に関して高い知見を有するでしょうが,選挙で選出されたわけではなく,政治責任を負う主体ではないのです。

 

 というわけで,現在の三党協議においては,規制委員会を3条委員会としつつ,規制委員会(あるいは委員長)に対して,内閣総理大臣の指示権を認める方向で協議が進められていると報じられています。

 

 しかし, 3条委員会とするということと,内閣総理大臣に指示権を認めるということは,本来,相容れないことなんですよね。原子炉制御の専門性と最終的には政治家が責任を負うということのバランスをとった苦肉の策ともいえますが,どういう場合に指示権が認められるのか,規制委員会と原子力防災・放射能汚染対策会議(仮称)はどういう関係に立つのか,規制委員会の事務局としての原子力規制庁の組織のあり方(含む「ノーリターン・ルール」)など,精緻な制度・組織設定が望まれます。

 

hy

 

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