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2012年6月25日 (月)

路上喫煙過料について

 週末の新聞に,路上喫煙者から過料を徴収する条例を東京都千代田区が制定してから10年たつとの記事が掲載されていました。

 

 記事の内容は,この制度は着実に効果を上げており,違反やポイ捨てが減少している半面,過料を払わない人が増えているというというものでした。

 

 この「過料」という言葉,一般的にはなじみがないですよね。同じ発音で「科料」というものもあり,この「科料」は刑罰の一種なので,それと区別するために,「過料」を「あやまちりょう」,「科料」を「とがりょう」と読んで区別したりしますが,いずれにしてもなじみの薄い用語です。

 

 辞書的にいうと,過料とは,金銭罰の一種で,秩序罰,懲戒罰,執行罰の過料に大別され,刑ではないから刑法総則の適用はなく,過料に処し,及びこれを執行する手続についても,刑事訴訟法は適用されないと説明されています。

 

 要するに,刑罰を科すほど違法性の高いものではないが,法律秩序を維持するために,法律違反者に制裁としてかせられる金銭的負担といったところでしょうか。

 

 例えば,会社法には,会社の取締役が会社法の規定による登記を怠った場合には,100万円以下の過料に処するとの規定があります。

 

 過料に処する手続の管轄や裁判については,個別の法律に規定がない限り,非訟事件手続法161条以下(新非訟事件手続法施行後は119条以下)が適用されることになります。

 

 他方で,記事で問題とされている路上喫煙者の過料については,その根拠は地方自治法に求められます。

 

 地方自治法第14条第3項は,

 

 「普通地方公共団体は,法令に特別の定めがあるものを除くほか,その条例中に,条例に違反した者に対し,二年以下の懲役若しくは禁錮,百万円以下の罰金,拘留,科料若しくは没収の刑又は五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。」

 

と規定しています。東京都の区は,特別区として,市に関する規定が原則適用されることになっているので,千代田区の条例も,この規定を根拠に制定されているのだろうと思われます。

 

 地方公共団体の条例で定める過料については,非訟事件手続法の適用はありません。地方自治法の規定に基づき,未納付者に対しては,督促の上,地方税の滞納処分の例により処分することができると考えられます。

 

 しかし,現実にそこまでするかというのは,また別の問題でしょう。「安全で快適な千代田区の生活環境の整備に関する条例」第二十四条では,路上禁煙地区内で喫煙し,又は吸殻を捨てた者は,二万円以下の過料に処すると規定されておりますが,実際の過料の金額は2,000円とされているようです。過料の徴収により千代田区の財政が潤うわけではなく,やはり,喫煙者のモラル・常識に訴える面が強いというのが実情なのでしょう。

 

hy

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