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2012年7月31日 (火)

嫡出でない子の相続分

民法では,法定相続分について,「子,直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは,各自の相続分は,相等しいものとする。」と定められています。

 

親が亡くなって,子3人のみが相続人だとすると,各自の相続分は3分の1ということです。

 

ただ,これには例外があって,

 

「嫡出でない子の相続分は,嫡出である子の二分の一」

 

とされています(民法9004号ただし書き)。この規定は遺留分のところでも準用されているので,遺留分についても,嫡出でない子は,嫡出である子の2分の1ということになります。

 

法定相続分の割合については,昭和55年法改正がなされているのですが,その前年の「相続に関する民法改正要綱試案」(法務省民事局参事官室)では,嫡出である子も嫡出でない子も,相続分は同等とされていたようですが,最終的には法改正に反映されませんでした。

 

当時の世論調査では,同等にすべきという意見が15%程度しかなかったようなので,時期尚早ということだったのかもしれません。

 

しかし,年月を経て,この規定にはずいぶん批判が出てまいりました。不合理な差別であり憲法の保障する平等原則に反するという理由で,最高裁まで持ち込まれているケースがあることはご存知の方も多いと思います。

 

リーディングケースは,平成775日の最高裁大法廷決定。この決定では合憲の判断が下されていますが,15人の裁判官のうち5人が反対意見を書いています。直近の最高裁の判断は,平成21930日の第二小法廷決定。この決定でも,平成7年決定を引いて合憲の判断が維持されていますが,4人の裁判官のうち1人の反対意見があります。

 

ところで,昨日,山野目章夫教授の講演を拝聴したのですが,この論点について,最高裁大法廷の判断が下される可能性が昨年のケースであった,という話を伺いました。

 

どういうことかというと,民法9004号ただし書が憲法違反であることを理由として特別抗告審が係属し,なんと,小法廷から大法廷に回付されたにもかかわらず,当事者が裁判外で和解したため,抗告の利益が消滅したとして抗告が却下されたというのです(最決H23.3.9)。

 

大法廷に回付されたということなので,違憲判断・判例変更が濃厚だったといえるでしょう(裁判所法102号・3号)。山野目先生もおっしゃっていましたが,実に残念でしたね。

 

さて,この「嫡出」という言葉,日常ではなじみのない言葉ですが,民法上は,法律上の婚姻関係にある夫婦間における出生を意味します。

 

ある国語辞典によれば,嫡出とは,正妻から生まれること=正出と書かれています。法制史上も,正妻から生まれた子を嫡子と呼んでいたようで,のち意味がやや転じて,家相続人の意味に用いられたようです。

 

したがって,戦前の家制度の下ではよく用いられた語だと推測できますが,「嫡」なんて,現在ではあまり用いられませんよね。芸技の世界でいくつか流派があり,正統の流派という意味で,「うちが嫡流よ」などと使う程度でしょうか。

 

いえいえ,辞書を見ていたら,もう一つポピュラーな使い方を見つけました。

 

「チャキチャキの江戸っ子だよ。」

 

この「チャキチャキ」というのは,「嫡嫡」の変化だということのようです。

 

hy

 

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