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2012年12月15日 (土)

投票の方法

 

  先週から今週にかけて,注目すべき判決や事件が目白押しでした。国家公務員の政治的自由が争点となった,いわゆる目黒社会保険事務所事件の最高裁判決が出されました。

 

 

 

また,いわゆる舞鶴事件では,状況証拠によって事実認定をすべき場合に関するH22.4.27の最高裁判決のルール(「被告人が犯人でないとしたならば合理的に説明することのできない事実関係の存在」)を踏まえて,高裁で無罪判決が出ました。

 

 

 

国民的関心の極めて高かった重大事件に係る被告人の勾留施設での自殺もあり,また,北朝鮮のミサイル発射もありました。もちろん,選挙戦は大詰めを迎えております。

 

 

 

そんななか,当初は,目黒社会保険事務所事件判決をこのブログで取り上げようかと考えておりましたが,昨夜,帰宅ランしたのち,ぼんやり眺めていた選挙報道に関するテレビ番組を見て,私なりに考えた駄文をつづることにします。

 

 

 

その番組では,若者の投票離れに取り組む大学生の活動を取り上げていました。前回の衆議院総選挙では,20代の有権者の投票率はわずか49.5%に過ぎなかったとのことです。この数字を知らなかった私は,ちょっとびっくりしました。前回の総選挙,民主党が躍進し,政権を獲得したわけですが,20代の有権者は全然盛り上がっていなかったということのようです。

 

 

 

その番組でスタジオに出演していた大学生によると,20代の若者に今回の選挙のことを聞いても,反応は鈍いとのことでした。

 

 

 

しばしば,「政治に対する若者の無関心」ということがいわれますが,全く無関心なのではなく,政治のことはよくわからないし,自分たちが選挙に行っても結果は変わらないので,行動しないということなのではないか,と私は思っています。

 

 

 

普段から政治に強い関心があるわけでもなく,議員との接触もない中で,いざ選挙戦が始まると,「地元密着の○○です。」という見たこともない候補者達が選挙活動を開始し,2週間で自分の将来を託すことができる候補者を決め,1票を投じろと20代の有権者にもとめても,それは無理があるというものです。結局候補者のことがよくわからないから選挙に行かないし,若い有権者が選挙に行かないので,当選した議員は若者向けの政策を実行せず,若い世代の有権者はますます政治に無関心になるということなのではないでしょうか。

 

 

 

ところで,選挙運動期間の2週間で自分の将来を託すことができる候補者を決定することが難しいとしても,逆に,この候補者にだけは絶対自分たちの代表になってほしくない,議員になってほしくないという候補者を見つけることはできると思います。「なんかこの候補者の言っていることは問題がありそうだ。」ということは直感的に感じ取れることもあるのでは?

 

 

 

というわけで,そのような意見を選挙の結果に反映させることはできないのでしょうか。憲法は,投票の方法は法律で定めると規定しています。衆議院議員の選挙区選出の投票方法について,公職選挙法は,選挙人は,投票所において,投票用紙に当該選挙の公職の候補者一人の氏名を自書して,これを投票箱に入れなければならないと規定し,有効投票の最多数を得た者をもつて当選人とすると定めています。この方法では,「この候補者にだけは当選してほしくない。」という有権者の意思は反映できません。

 

 

 

そこで,有権者は,候補者に○をつけてもいいし,×をつけてもいいという方法はどうでしょうか。当選してほしくない人には×をつけるわけです。そして,「○マイナス×」の数が一番多い人が当選人となる,というわけです。愚策でしょうか。

 

 

 

ところで,「×」をつけられる投票といえば,最高裁判所裁判官の国民審査があります。これは,一種の解職の制度なので,憲法でも,「投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは,その裁判官は,罷免される。」と規定されています。衆議院議員候補者以上に最高裁判所裁判官は有権者から遠い存在ですので,誰に×をつけてよいかわからず,この制度は機能していないのではないかという批判もあります。聞くところによると,白紙で投票するのもなんなので,一番上に名前が書いてある裁判官にだけ×をつけるという人が多いとのことです。

 

 

 

しかし,有権者の意思を司法に反映できるせっかくの制度なので,よく考えて投票に臨みたいものです。では,なじみのない最高裁裁判官についてどういう観点から投票に臨めばよいのか,私は,最高裁判決の各裁判官の「個別意見」に着目するのがよいと思います。

 

 

 

裁判所法は,「(最高裁判所の)裁判書には,各裁判官の意見を表示しなければならない。」と規定されています。同一の意見であれば,共同に表示され「全員一致の意見」とか「多数意見」とされますが,各裁判官が個別意見を表示することもできます。個別意見には,多数意見に加わった裁判官がそれに付加して自己の意見を述べる「補足意見」,結論は多数意見と同じであるがその理由付けが異なるものである「意見」,多数意見に結論,理由ともに反対であるものである「反対意見」の3つがあります。

 

 

 

通常の多くの事件については,「全員一致の意見」で構わないと思いますが,国民の関心が高く見解が分かれるような事件では,各最高裁裁判官には,個別意見を述べてもらいたいものです。仮に多数意見に与する場合であっても,補足意見が述べられていると,その裁判官の考えていることや人となりがよくわかります。

 

 

 

今回の国民審査の直近の判決では,やはり平成241017日の参議院議員定数不均衡訴訟に関する大法廷判決が着目すべき判決でしょう。この判決は最高裁のHPからダウンロードできます。どの裁判官が個別意見を述べているのかいないのか,そして個別意見の内容はどうかについて着目し,国民審査に臨むというのも一つの方法だと思います。

 

 

 

http://yamato-law-accounting.com/

 

hy

 

 

 

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