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2013年1月26日 (土)

平成25年度税制改正大綱

  一昨日,平成25年度税制改正大綱が,自民党・公明党の連名で発表されました。92頁にもわたる大部のものですね。

 

自民党税制調査会の小委員会が昨週開かれ,緊急経済対策に関する税制措置などが検討されていましたが,同委員会で「政策的問題として検討する。」とされていた事項は,おおむね大綱に盛り込まれたとの印象です。

 

今回の大綱の内容も,あらゆる税領域に広くわたるものですが,みなさんにとって,大きな関心がある点といえば,相続税・贈与税の見直しが挙げられるのではないかと思います。

 

相続税・贈与税関係の中では,小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例についての見直しや,事業承継税制に関し,非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の見直し,なども重要な点ですが,衆目をひくのは,やはり,相続税の基礎控除の変更と,教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設の二つでしょう。

 

まず,相続税の基礎控除については,現行制度は,「5000万円+1000万円×法定相続人数」とされています。この公式については,みなさんとてもよく知っておられ,相続に関する法律相談を受ける場合にも,この公式を知らない方はほとんどいないといってよいくらい,広く知れ渡っています。

 

今回の大綱では,相続税の基礎控除について,「3000万円+600万円×法定相続人数」に引き下げるとされています。この差は大きいですね。現行の公式の数字は平成6年に導入されたものですが,統計的には,死亡者のうちに占める課税被相続人の割合は,例えば平成21年には4.0%となっています。つまり,相続税を納めている人はほとんどいないということですね。

 

それが,今回の大綱では,「3000万円+600万円×法定相続人数」に引き下げられました。この水準は,昭和50年に採用された「2000万円+400万円×法定相続人数」と昭和63年に採用された「4000万円+800万円×法定相続人数」の中間くらいの水準ですね。その当時は,死亡者のうちに占める課税被相続人の割合は,8%以上あったと思われますので,単純計算でも,現在の約二倍です。

 

いずれにせよ,「うちは遺産総額が少ないから,相続税は全く関係ない。」と一概には言えない水準に基礎控除額が引き下げられたということだと思います。

 

この基礎控除額の引き下げは,平成27年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用される予定です。

 

もう一つの着目点は,教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置です。

 

これは,30歳未満の者(受贈者)の教育資金に充てるためにその直系尊属が金銭を拠出し,信託銀行や銀行,第一種金融商品取引業者に信託した場合には,拠出された金銭の額のうち受贈者一人につき原則として1500万円までの金額に相当する部分の価額については,平成25年4月1日から平成27年12月31日までの間に拠出されるものに限り,贈与税を課さないというものです。

 

自民税調の小委員会では,祖父母が孫への教育資金を金融機関にまとめて預入し,その資金を孫が高校や大学などに入学する段階で,金融機関から教育目的で払い出されるイメージが示されていました。

 

では,払い出された金銭が本当に教育資金に使われたのか否か,税務署がどのように判断するのかというと,この特例を受けようとする受贈者は,教育資金の支払に充当したことを証する書面を金融機関に提出し,金融機関はその記録を保管しておき,受贈者が30歳に達したときに,金融機関は,調書を受贈者の納税地の所轄税務署長に提出するという手続がとられることとされています。

 

ところで,この特例において,信託がされた金銭の額(「非課税拠出額」)が教育資金として払い出された合計金額(「教育資金支出額」)を上回った場合には,残額は,受贈者が30歳に達したときに贈与があったものとして,贈与税が課されることになっています。

 

そうすると,信託する時点において,将来どの程度の教育資金が孫にかかるか,きちんと判定しておかないと,孫に贈与税がかかってくる可能性があることになりますね。1500万円の贈与をしたが,孫の入学した学校や大学は入学金や学費が安かったという場合,差額に丸まる贈与税が課されることになります。実際問題として,将来どの程度の教育資金が必要なのか,前もって判定するのはなかなか難しいように思います。

 

とはいっても,資産のある祖父母にとっては,魅力的に感じる制度の創設ではあるでしょう。今後,信託銀行を中心に,本特例に関連し,いろいろな商品の提案がなされるのではないでしょうか。

http://yamato-law-accounting.com/

hy

 

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