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2013年4月 2日 (火)

面会交流と間接強制

面会交流と間接強制に関する三件の許可抗告事件について,最高裁第一小法廷は,328日,それぞれ決定を下したとの報道が昨日の新聞によりなされていました。

 
結論としては,一定の場合に,審判又は調停調書に基づき,子を監護している親(監護親)に対し,間接強制決定をすることができる場合があるというものです。

 
夫婦が離婚する場合や,離婚することなく別居し,夫婦のいずれか一方が子どもを監護養育している場合,親権者とならなかった親や子どもを監護していない親(非監護親)が子どもと会うことを面会交流といいます。

 
この面会交流,かつては,「面接交渉」などという表現が用いられることが多かったと思いますが,平成23年の民法改正で,766条に父母と子どもとの面会およびその他の交流について規定がなされたことから,現在では面会交流という表現が一般的になりました。

 
離婚調停や審判においては,監護親が非監護親に対して,子どもと面会交流をすることを許さなければならないという趣旨の条項が定められる場合があります。例えば次のようなものです。

 
「相手方は,申立人に対し,申立人が当事者間の長男と,次のとおり面会交流をすることを認める。
 
1 原則として月1回程度
 
2 夏休み及び冬休みの期間中は,それぞれ1泊以上の宿泊を伴う面会交流とする。
 
3 具体的な面会交流の日時,方法等については,当事者双方が子の福祉を慎重に考慮して定めるものとする。」

 
問題は,このような条項が一方当事者により遵守されず,相手方当事者が子どもに会うことができない場合,裁判所に対し,面会交流をすることを許さなければならないと命ずるとともに,その義務を履行しないときは一定の金員を支払うよう命ずる間接強制決定を求める申し立てをすることができるかということです。

 
この点,今回の最高裁決定のうち,調停調書に基づく間接強制が問題とされた事件は,一般論としては,次のように述べました(なお,今回の最高裁決定は一件が調停,二件が審判に関するものでした。)。

 
「調停調書に面会交流の日時又は頻度,各回の面会交流時間の長さ,子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえるときは,間接強制を許さない旨の合意が存在するなどの特段の事情がない限り,上記調停調書に基づき監護親に対し間接強制決定をすることができると解するのが相当である。」

 
その上で,最高裁は,一件については,間接強制を認めましたが,他の二件については,面会交流の頻度や時間が必ずしも特定されていないことを理由に,あるいは,子の引渡しの方法がなんら定められていないことを理由に,それぞれ間接強制を認めませんでした。

 
最高裁は,監護親のなすべき給付義務の内容が特定されているか否かという観点から事件を処理しました。面会交流は,通常,①監護親が非監護親に子どもを引き渡す,②非監護親が子どもと面会交流する,③非監護親が監護親に子どもを引き渡す,という手順を踏んでなされるものですから,間接強制が認められる条項にするためには,①②③について,それぞれ,日時(又は頻度)(②については時間)と場所を特定する必要があるということになると思われます。上述したような,具体的な日時・場所については当事者協議して定めるという趣旨の条項では,間接強制は認められないということになるでしょう。

 
そうであれば,給付義務の内容を特定すれば無事解決かというと,問題はそんな単純なものでなないように思われます。そもそも面会交流は,子の福祉・利益が最も優先して考慮されるべきであり,そのような観点からすれば,本来は柔軟に対応することができる条項に基づき実施されることが望ましいともいえるからです。

 
また,実務上は,面会交流をめぐり父母の主張や感情が激しく対立する事案が極めて多く,給付義務を特定できるほどの条項には当事者が合意しないというケースも考えられます。

 
いずれにしても,面会交流において間接強制が認められる準則が最高裁により示されたわけですから,今後は,間接強制を念頭におく当事者としては,給付義務が特定されているか否か,この判例を分析ししっかり検討する必要があるということでしょう。

 
逆に,調停のケースに関し,最高裁が特段の事情として言及していますが,間接強制をしないという当事者合意も,調停条項として有効ということになるのだと思います。

 
http://yamato-law-accounting.com/

hy

 

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