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2014年2月28日 (金)

ビットコイン騒動

 今週は,ビットコインの取引所を運営する東京の会社のサイトが閉鎖状態になっているとして,換金不能のおそれがあるのではないかという報道でもちきりでした。

 今このブログを書きはじめた時点でも,同社のサイトにアクセスすると,当面すべての取引を停止することや,代表者(?)はまだ日本にいるが,従業員には質問をしないでほしいということなどが簡単に記載されているだけのようです。

 ビットコインがどういうものであるかについては,私は技術的にはわかりませんので,報道されている範囲での知識しかありませんが,一言でいえば,インターネット上の仮想「通貨」のようです。

 ビットコインが換金できないため,
”WHERE IS OUR MONEY” と書かれたカードをもって同社に詰めかけている人の映像も報道機関から配信されていますので,さながら,銀行が経営破綻した場合の取り立て騒ぎのような様相を呈しています。

 もし銀行が倒産した場合には,「俺たちの預金は保護されるのか?」「ペイオフとはどういうものか?」「倒産を防げなかった金融当局は責任を負うべきではないか?」などの議論が持ち上がると思いますが,今回のビットコイン騒動では,そのような動きにはなっていません。

 ビットコインには,なぜ金融当局の規制が及ばないのでしょうか。

 ビットコインは,財政難になったキプロス政権が預金凍結をした際,キプロス国民がビットコインへ資産を移す動きが増大し,一躍周知になったことからすれば,ビットコインを銀行預金と同視するという発想はあながち見当外れではないように思います。

 日本の金融監督当局は金融庁ですが,金融庁の所掌事務は,金融庁設置法という法律に書いてあります。同法3条は,金融庁の任務として,「金融庁は,我が国の金融の機能の安定を確保し,預金者,保険契約者,有価証券の投資者その他これらに準ずる者の保護を図るとともに,金融の円滑を図ることを任務とする。」と規定しています。

 「金融」とは何かという明確な定義は同法にはないようですが,預金者や有価証券の投資者の保護と書かれていますので,預金者に関係する銀行法や,有価証券に関係する金融商品取引法を見てみました。

 まず,銀行法2条2項は,銀行業の定義として,「この法律において「銀行業」とは,次に掲げる行為のいずれかを行う営業をいう。」と規定し,二つの行為を列挙しています。

一 預金又は定期積金の受入れと資金の貸付け又は手形の割引とを併せ行うこと。

二 為替取引を行うこと。

 まず,一号ですが,預金の受入れと資金貸付けを「併せ行う」ことと規定されています。どちらか一方では,銀行業とはいえないということです。ビットコインの取引所は,資金の貸付けを行いません。従って,ビットコインの取引所が,ビットコインの発行にあたって現金を受け入れますが,それが「預金の受入れ」に該当するかどうかを検討するまでもなく,一号には該当しないことになります。

次に二号の「為替取引」です。

「為替取引を行うこと」とは,顧客から,隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動することを内容とする依頼を受けて,これを引き受けること,又はこれを引き受けて遂行することをいう,というのが最高裁の考え方です(最決平成13年3月12日)。

ビットコインは,送金の手段としても用いられ,手数料が格安であることが報じられていますので,この「為替取引」に該当するのではないかとも思うのですが,違うのでしょうか。

ビットコインの取引所は,送金を請け負っているわけではなく,たまたま送金という手段に利用できるということなのでしょうか。

為替取引といえば,外為法だろうということで,外国為替及び外国貿易法を見てみると,同法8条は「この法律の適用を受ける取引又は行為に係る通貨による支払等(…中略…)は,財務大臣の指定する通貨により行われなければならない。」と規定されていて,「通貨」に着目していることがうかがえます。

また,日本銀行法では,「外国為替の売買」という用語が出てきますが,これは「為替」=「外国通貨」の意味で用いられているようです。「通貨」が絡んでいることが為替取引の大前提となっているのでしょうか。正直申し上げてよくわかりません。

なお,銀行以外にも,為替取引ができる業者として,資金移動業というものが認められていますが,ビットコインの取引が為替取引に該当しないということであれば,資金移動業も関係ないですね。

銀行が関係ないとすると,ビットコイン=有価証券ということで,証券会社が扱うべきものではないかという疑問も生じます。投資者を保護するという観点です。

しかし,
金融商品取引法の有価証券の定義は限定列挙なので,ビットコインを有価証券と解釈することは無理があるでしょう。

と,以上のようなことをつらつらと書いていたら,なんと,東京のビットコイン取引所が民事再生手続開始の申立てをしたというニュースが飛び込んできました。金曜日の夕方というタイミングです。

 

http://yamato-law-accounting.com/

hy

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